外貨建て保険にはどのようなイメージがありますか?
「よくわからない」「なんか危険な感じがする」「ハイリスク・ハイリターンな保険」と言う、少しネガティブで危険な保険と言うイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
正直に言うと私もあまり良いイメージはありません。
それは何故かと言うと、あまり知らないからです。
あまり馴染みのない外貨建て保険ではありますが、近年、国内生命保険会社も力を入れ始めています。
そこで今回は、明治安田生命の外貨建ての終身保険である「つみたてドル建終身」について解説・紹介をしていきます。
目次
明治安田生命「つみたてドル建終身」を簡単に説明します!
明治安田生命が少し力を入れている「つみたてドル建終身」を簡単に説明すると、【低解約返戻金型の終身死亡保険】であり、保険金・解約返戻金は【米ドル】での支払いになると言うだけの保険です。
保険金・解約返戻金の支払いは【米ドル】と書きましたが、実際に契約者が保険料を払う時、保険金や解約返戻金を受け取るときは【日本円】となります。
少し解りにくいと言う方も居るかもしれませんが、契約者は日本円で保険料を支払い、保険金・解約返戻金を受け取るときも日本円と言う事であり、感覚的には通常の低解約返戻金型の終身保険に加入しているのと、あまり変わらないと考えると、解りやすいかもしれないですね。
明治安田生命「つみたてドル建終身」とはこんな保険!
それでは、明治安田生命の「つみたてドル建終身」について少し解説をしていきましょう。
この保険は一生涯の死亡保障であり、【低解約返戻金型】と言う事で、保険料払込期間中の解約返戻金は低く設定されています。
これだけ聞くと、「低解約返戻金型終身保険と同じ内容の保険なの?」と思う方も居るかもしれませんが、この保険は積立保険ですので、死亡保険金を保険料払込期間で積み立てる保険と言う事から、【低解約返戻金型終身保険】とは少し内容が異なる保険商品となっています。
また外貨建て保険ではありますが、先ほども書いたように保険料の支払いや、保険金・解約返戻金の受け取りはすべて日本円となっているのが特徴の一つと言えるでしょう。
契約に関する基本情報を紹介!
保険期間:終身
保険料払込期間:10年~30年(5年ごとに区切ることが出来ます)
契約可能年齢:契約者は満20歳~満85歳・被保険者は0歳~満85歳
保険料の払込期間は最短10年となっており、5年刻みで最長30年まで設定することが出来ます。
契約者に関しては【満20歳~】となっていますが、被保険者は【0歳~】となっていますので、お子さんを被保険者にして学資保険代わりなど子供のためにお金を貯めると言う事にも活用は出来ると言えるでしょう。
主契約と特約の内容を紹介!
主契約
- 積立保険(死亡保険金を積み立てる保険)
特約
- 円入金特約(円建保険料固定型)
- 円支払特約
この保険の主契約は、死亡保険金を積み立てていく内容となり、簡単に言うと保険料払込期間で積み立てた金額が死亡保険金となると言う事です。
また、この保険の2つの特約に関しては、【必須付加】と言って、通常の保険のオプションの様な選択制ではなく、必ず付けないといけない特約となっています。
この特約は、保険料を日本円で支払い、保険金や解約返戻金を日本円で受け取るための特約となっています。
この特約がある事で、契約者は日本円建ての保険に入っている感覚で外貨建て保険に加入することが出来ると言えるでしょう。
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保険金や解約返戻金の受け取り方法はどうなる?
この保険は積立終身保険となります。
そのため、被保険者が亡くなった場合には【死亡保険金】が、解約をすれば【解約返戻金】が保険会社から受け取ることが出来ますよね?
しかし、冒頭でも書きましたように、この保険の保障は【米ドル】となっています。
そこで、この「つみたてドル建終身」は、保険金・解約返戻金を【米ドル】か【日本円】のどちらで受け取るのか?という所が選択できるようになっています。
ここでは3つのパターンの受け取り方法を少し紹介していきましょう。
- 死亡保険金として一時金で受け取る場合:【米ドル】or【日本円】
- 解約をして解約返戻金として一時金として受け取る場合:【米ドル】or【日本円】
- 解約をして年金として受け取る場合:【日本円のみ】
※年金として受け取る場合は2029年3月から取り扱い開始予定の「一時払い個人年金保険」に加入しなければいけないが、年齢によっては加入できない場合もある。
このように、受け取り方法によっては、【米ドル】か【日本円】のどちらで受け取るのかを決めることが出来るようになっています。
保険料はドルコスト均等法を採用!?
明治安田生命の「つみたてドル建終身」は、保険料の払い込みに関しては日本円で行う事になります。
そのため、月々の保険料を日本円で払い込み、払い込んだ保険料で保険会社が米ドルを購入して保険金として積み立てると言う仕組みになります。
この仕組みが「つみたてドル建終身」の仕組みとなっていると言う事をまずは理解しておいてください。
それでは月々の保険料と返戻率を少し紹介しておきましょう。
保険料と返戻率
保険料:月々10,000円~2,000,000円までで設定可能
返戻率:月払いの場合は103.1%・年払いの場合は105.1%
※この返戻率は米ドルベースでの返戻率となりますので、受け取り時に日本円で受け取る場合は為替変動によって実際の返戻率は米ドルベースの返戻率とは異なります。
月々の保険料は、1万円~200万円までで自由に設定可能となっています。
返戻率に関しては注釈も作りましたが、米ドルベースでの返戻率になりますので、為替変動(加入時と比べて円安か円高)によって返戻率は大きく変わることになります。
解約をする場合には、為替相場をしっかりと把握しておきましょう。
これが、為替リスクの一つと言えます。
ドルコスト均等法とはなに?
この「つみたてドル建終身」は【ドルコスト均等法】を採用している保険商品となります。
「ドルコスト均等法ってなに?」と言う方も居ると思いますので、ここで少しドルコスト均等法について書いておきます。
ドルコスト均等法とは、投資などに用いられる言葉であり、為替変動リスクを軽減させる方法の一つです。
この保険の様に一定の日本円で外貨を買い続ける方法を【ドルコスト均等法】と言います。
逆に一定の外貨を買い続ける方法を【定量購入法】と言います。
解りやすく書くと、毎月1万円分ずつの米ドルを買い続けるのが【ドルコスト均等法】で、毎月100ドルずつ買い続けるのを【定量購入法】となります。
ドルコスト均等法のメリットとしては、日本円での支払いが一定であることで、保険料の管理がしやすいことと、平均するとドル購入額が定量購入法よりもお得になる可能性が高いという所になります。
デメリットは、取得する米ドルの金額が為替変動によって変わることから、保障額となる死亡保険金の額が契約時に確定できないところにあることから、細かな死亡保険金の額が解らないと言うデメリットになります。
ドルコスト均等法について軽く説明しましたが、少し説明が難しいところがあるので、解りにくかったと言う方は、また調べてください!
明治安田生命「つみたてドル建終身」の注意するべきポイントは?
明治安田生命の「つみたてドル建終身」の注意するべきポイントを少し紹介しておきましょう。
この保険の注意ポイントは【為替変動のリスク】ですが、この為替変動のリスクには2つの意味合いがあります。
それが【解約返戻金の元本割れリスク】と【死亡保険金が低くなるリスク】となります。
解約返戻金の元本割れに関しては、円高となっているときに解約をすると元本が割れることになります。
解りやすく書くと、米ドルで積み立てていることから解約時には日本円に変えないといけませんよね?
その際に、積み立てに掛かった費用の平均が1ドル100円だった場合、解約時に1ドル90円になっていれば10円分元本割れを起こしますと言う事です。
逆に、解約時に1ドル110円になっていれば10円分得すると言う事になります。
積立に掛かった平均費用と、解約時の為替レートをしっかりと見極めれば大した問題ではないと言えるでしょう。
また2つ目のリスクとしては、死亡保障として考えた場合は為替変動によって思っていたよりも低い死亡保険金になる場合もあれば、思ったよりも多い死亡保険金になると言う事もあります。
死亡保障として確実にいくら残したいと言うニーズには適さない保険と言えますので、死亡保障として活用するのはあまりお勧めしません。
明治安田生命「つみたてドル建終身」はおすすめ出来る?
最後になりましたが、この保険をおすすめ出来るかどうかの私見を書いておきます。
個人的な意見ではありますが、この保険をおすすめ出来るかと言われると、答えは「ノー」です。
おすすめ出来ないから悪い商品と言う訳では決してありませんが、個人的には魅力があまり感じられない商品かと思います。
返戻率が約103%となっていますが、あくまでも米ドルベースでの話ですし、もちろん為替変動のリスクもありますが、外貨建て保険を活用するのであればもう少し魅力的な商品が他社にもあると思いますし、返戻率を見てもあまり魅力的とも正直感じないことから、わざわざ明治安田生命の「つみたてドル建終身」を選択する必要はないと言えるでしょう。
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まとめ
今回は明治安田生命の「つみたてドル建終身」について書きましたが、正直に言うとあまり書く内容の無い保険でもありました。
記事内容を考えるのが非常に苦労するほど、中身がシンプルであり細かく解説する部分もない保険商品でした。
ポジティブな意見を言うと、内容が非常にシンプルで保険料の支払いも保険金の受け取りも日本円で出来る事から、外貨建ての保険に抵抗のある方でもあまり抵抗なく外貨建て保険に安心して加入できるのではないかと思います。
少しネガティブな意見を言うと、国内生命保険会社の商品らしく、堅実性のある内容であり貯蓄性もあまり高くない商品かと言えます。
貯蓄性を重視するのであれば、おすすめ出来ないし、死亡保障と考えるのであれば、保障額が確定しないことから、もしもの時には非常に困ることになる可能性もあります。
為替変動のリスクと、この保険の特性をしっかり理解したうえで、明治安田生命の「つみたてドル建終身」への加入は考えるようにしましょう。
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