【FP解説】最近はやりの認知症保険は本当に必要か?損益分岐点も考えよう!!
- By: Tabadoi
- カテゴリー: 介護保険・認知症保険, 生命保険
- Tags: 介護保険, 認知症保険
認知症保険が各社から続々と販売されていますが、認知症保険って知っていますか?
メットライフ生命が2017年に業界で初めて認知症と診断確定された場合に給付金を支払う保険を販売したのが認知症保険の始まりです。
その翌年の2018年には太陽生命が認知症保険を販売し、コマーシャルなどで大きく宣伝し始めた事で少しずつ世間にも認知され始めた、比較的新しい保険商品です。
そんな認知症保険は本当に必要なのか?という所を、保険の内容や損得の面なども踏まえて元保険屋さんでファイナンシャルプランナーの目線から解説していきます。
目次
認知症保険ってどんな保険?
まず、認知症保険とはどんな保険なのか?という所を簡単に説明します。
認知症保険は、認知症と診断された時に一時金を受け取れる保険であり、認知症の介護に掛かる費用などに備える保険です。
同じような保険に、介護保険と言う物がありますが、どう違うのか?と言うのも気になる方も居ると思いますので、ここでは、認知症保険と介護保険の違いや認知症にどうやって備えるのか?という事についても少し解説していきます。
認知症保険と介護保険の違いは保障の範囲!?
認知症保険と介護保険の大きな違いは、その保障範囲と支払条件の違いです。
認知症保険
認知症と診断確定されたら一時金として保険金が給付されます。
また、保険商品によって軽度認知症で保険金が給付される保険商品もあります。
介護保険
多くの介護保険は、公的な介護保険制度の要介護2以上と認定された場合など、保険会社の定める条件を満たした時に保険金を給付する保険となります。
認知症保険の保障対象は「認知症」ですが、介護保険の保障対象は「介護状態」という事で、認知症で要介護2以上を認定されれば介護保険でも保険金が支払われますが、実際問題として、認知症だけでは要介護2と言う認定を受けにくいため、介護保険では対応しきれなかった「認知症」に対応する保険を作ったという事です。
この様に、保障の範囲と支払条件が認知症保険と介護保険では少し異なります。
認知症に対する備えはどうする?
認知症に備えるにはどうすれば良いのでしょうか?
認知症のリスクと言うのは、認知症になってしまった後の介護に掛かる費用です。
施設に入るにせよ、配偶者や子供と同居をするにしても、費用は掛かります。
その費用を賄うための準備として、介護保険や認知症保険があるのです。
また、介護費用だけを考えると貯蓄型の終身保険や養老保険などの、別の保険で準備をするという事も可能であるという事は知っておいてください。
要は、いつまでにいくらあれば良いのか?と言う考えで備えるという事も出来るという事です。
認知症保険は本当に必要か?
個人的な意見ですが、認知症保険は年齢によって加入する意義が異なります。
若い方にとっては必要のない保険であり、高齢になるにつれて加入してもいい保険だと言えでしょう。
認知症保険は比較的新しい保険であり、取り扱う保険会社も多くなってきています。
認知症保険として販売している会社もあれば、従来の介護保険に特約として認知症に備えさせる保険や、医療保険の特約として介護・認知症の特約を用意しているなど、保険会社・保険商品によってもそれぞれです。
認知症のリスクは誰にでもある事で、必要だと感じる方も多いでしょう。
しかし、本音で必要か?と問われれば、先ほど言った様な答えになるでしょう。
それは、この保険が認知症になった時に一時金が貰える保険だからです。
『認知症になるリスクがあるのは何歳ぐらいからでしょうか?』
『貰える金額に対していくらの保険料を支払わなければいけないのでしょうか?』
と言う2つを考える必要があるのです。
先ほども言ったように、介護費用だけを考えるのであれば、終身保険や養老保険を活用して貯蓄をすると言う方法もあります。
若ければ若いほど、将来に備える方法はたくさんあるという事です。
そうすれば、何歳ぐらいから認知症保険に加入するのが良いのか?という所を次章で少し解説しましょう。
認知症保険は何歳から入るとお得?
認知症保険を損得だけで見て何歳から加入すれば得をするのか?という事をここでは少し解説していきます。
損得とは、支払った保険料よりも貰える保険金が多ければ得であり、その逆では損をすると言う考え方です。
ここでは、一つの商品を例に挙げて男女別で少し解説していきます。
保険内容
- 認知症と診断された場合に200万円
- 保険期間・保険料払込期間:終身
- ※内容は少し簡素にしていますが、実際の商品はもう少し違った保障も有ります。
男性の場合(保険料と保険金額が200万円を超える年齢)
- 25歳:保険料2,760円(保険料が200万円を超える年齢:85歳)
- 30歳:保険料2,900円(保険料が200万円を超える年齢:87歳)
- 35歳:保険料3,100円(保険料が200万円を超える年齢:88歳)
- 45歳:保険料3,670円(保険料が200万円を超える年齢:90歳)
- 55歳:保険料5,030円(保険料が200万円を超える年齢:88歳)
- 60歳:保険料6,150円(保険料が200万円を超える年齢:87歳)
女性の場合(保険料と保険金額が200万円を超える年齢)
- 25歳:保険料2,780円(保険料が200万円を超える年齢:85歳)
- 30歳:保険料2,830円(保険料が200万円を超える年齢:89歳)
- 35歳:保険料3,200円(保険料が200万円を超える年齢:87歳)
- 45歳:保険料4,100円(保険料が200万円を超える年齢:86歳)
- 55歳:保険料6,100円(保険料が200万円を超える年齢:82歳)
- 60歳:保険料7,800円(保険料が200万円を超える年齢:81歳)
上記を見てもらえれば、大きな差は無いように見えますね!!
ただ、男性の場合には200万円に達する年齢の差が最大で5歳なのに対し、女性の場合には8歳も差がある事が分かりますね。
もう少し細かく出すともう少し年齢差がある可能性もありますが、この年齢を境にしてこれよりも若く認知症になり保険金を受け取れば得をし、この年齢よりも上の年齢で受け取れば結果として損をしたという事になるのです。
男性で言えば45歳前後で、女性で言えば30歳前後で加入するのが一番得をする可能性が高いと言えるでしょう。
認知症保険が出来た理由はなに?
認知症保険は、先ほども書いたように2017年にメットライフ生命が業界で初めて販売した保険商品であるため、新しい保険商品と言えるでしょう。
また、それに追随するような形で多くの保険会社が認知症保険や特約として付加できるようにしたのでしょうか?
それは、介護が必要となる病気のうち約18%が認知症である事が大きく関係しています。
しかし従来の介護保険での支払い条件は、公的介護保険の認定要件である要介護2以上となっている保険商品は多く、認知症の程度や症状ではこの条件をクリア出来ない事が多かったため、認知症に保障を絞った保険を出したのです。
そうする事で、支払条件や保障内容を出来るだけわかりやすくすることで、保険販売もしやすく加入をする方も加入しやすくなったと言えるのです。
これが、認知症保険が出来た理由です。
まとめ
認知症保険に関して書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
必要かどうか?と聞かれると、正直な話を言うとどちらでもいいと思います。
損得を考えるのであれば、先ほどの加入年齢に関しての事を考えれば良いですし、本当に認知症になった時の保障が欲しいのであれば、保険料次第で財布と相談しながら加入しましょう。
広範囲の介護が心配なのであれば、介護保険に加入すれば良いのですが、認知症を特に心配している方は、介護保険と認知症保険の支払い条件と保険料を見比べて加入するようにしましょう。
また個人的な意見としては、医療保険の特約としてセットするか、介護保険の特約としてセットするのが良いと思います。
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