定期保険と言えば、「大きな保障を手軽な保険料で!」と言う強みがある保険の一種ですが、医療保険に関しては、使い方によっては大きな損をする可能性のある非常に危険な保険の一つと言えます。
誰しも損をしたくないと思う事でしょう。
しかし、知らず知らずのうちにこの危険な保険に加入していると言う方も少なくないので、今回は定期医療保険について少し説明をしていきます。
目次
月々の保険料に魅力を感じてしまう!
定期保険と言えば、死亡保険でも医療保険でも月々の保険料が非常に安く魅力的に見えてしまう保険商品です。
医療保険に関して特筆していきますが、定期医療保険では月々の保険料が800円台や商品によってはもっと安い保険料の商品も有るでしょう。
その安い保険料に魅力を感じて、定期医療保険に加入すると言う方も居る事でしょう。
その考え方自体を否定する気はありません。
使い方によっては、間違った選択とは言えないからです。
「結婚するまでの間だけ!」や「子供が生まれるまでの間だけ!」と言うように、ある一定期間だけの保障で良い!と言う方にとっては、賢い選択と言えます。
しかし「一生涯の保障が欲しい」など、比較的長い期間の保障を望んでいる方が、この定期医療保険を選択すると、大きな損をする可能性が有るのです。
ここで、少し言っておきますが、目先の保険料と総支払保険料をしっかりと比較しなければ、後々後悔することになるのです。
保険料が安いのは若いうちだけ!
定期医療保険の月々の保険料は、若いうちには800円台など比較的安い保険料で魅力的かもしれませんが、定期保険には「更新」と言うモノがあります。
定期保険は、一定期間の保障であるために、その期間が終了すれば「更新しますか?どうしますか?」と言う選択に迫られます。
また「更新」と言う言葉も曲者で、「更新」と聞くと条件をそのままで継続できると思う方も居るかもしれませんが、更新するときの年齢によって保険料は決定されます。
そして保障内容も場合によっては減額をされる場合もありますので、保障内容に関しても同条件で継続されると言う保証もありません。
ただし、健康状態の告知に関しては比較的緩い場合がありますので、病気に罹ってしまい他の保険に加入できないと言う方にとっては、この「更新」と言う制度は良いかもしれませんね!
定期医療保険は「更新」の時の年齢によって保険料が変わる事から、「更新」の度に保険料が上がっていきます。
30代であれば800円台の保険料も、60代になると3000円台の保険料になるのです。
そして定期医療保険の多くは、80歳代で最後の「更新」となり、長くても80歳・90歳代までの保障しかありません。
人生100年時代と言われる長寿時代に、90歳で医療保障が無くなってしまったらそれ以降は病気への備えは出来なくなります。
その事も併せて覚えておきましょう。
定期医療保険と終身医療保険の総支払保険料には差がある!?
保険の販売をしている時に良く説明をしたことの一つにこんなことがあります。
「総支払保険料を比べましょう!」
生命保険は目に見えない保障を買う事から、月々の保険料に敏感になる方が多いです。
その気持ちは非常によく解ります。
月々800円台の保険と月々5,000円台の保険では、誰でも800円台の保険を選びたくなるでしょう。
内容が同じなら安いのに越した事はありません!!
しかし、この保険料の違いは保障内容だけではなく、保障期間や保険料払込期間によって大きく異なるのです。
生命保険全体的に言えるのは、一定期間の保険は一番安く、一生涯の保障で保険料の払込期間が決まっている保険は一番高くなる傾向があります。
少し解りやすく言うと、定期医療保険は一番安く、終身医療保険の保険料払込期間55歳などと言う商品は一番高くなるという事です。
これが、先ほど書いたような保険料の差となります。
これだけ見ると、「安い保険料の方が結果的に得をするのではないの?」と思う方も多いと思いますが、定期保険は更新の度に保険料が高くなる性質があるという事を思い出してください。
更新の度に保険料が高くなる商品と、保険料払込期間終了まで保険料が変わらない商品とを同じ期間加入した場合に、総支払保険料には大きな差が出る場合があるのです。
総支払保険料の差はこれだけある!
それでは、定期医療保険と終身医療保険では総支払保険料にどれだけの差がるのか?という所を少し見て行きましょう。
少し具体的にするために、定期医療保険はアクサダイレクト生命の「アクサダイレクトの定期医療保険」とし、終身医療保険はオリックス生命の「新CURE(キュア)」とします。
保障内容も少し異なりますので、詳細の箇所で保障内容も記載しておきます。
定期医療保険の総支払保険料
定期医療保険の総支払保険料の具体例を見て貰う為に、アクサダイレクト生命の「アクサダイレクトの定期医療保険」を例に出しますが、決して「この商品がダメ!おすすめ出来ない!」と言う訳ではありません。
使い方・考え方によっては良い商品という事だけは先に言っておきます。
また、年代別の保険料を出しますが、これは現在の保険料ベースで計算しますので、実際の場合と異なります。
条件と保障内容:30歳男性で入院位置に5,000円・手術給付金5万円の場合
年齢 | 月払い保険料 | 10年間の総額 |
30歳~39歳まで | 840円 | 100,800円 |
40歳~49歳まで | 960円 | 115,200円 |
50歳~59歳まで | 1,480円 | 177,600円 |
60歳~69歳まで | 2,940円 | 352,800円 |
69歳~78歳まで | 4,980円 | 597,600円 |
総支払保険料 | 1,344,000円 |
78歳まで保険に加入した場合の総支払保険料は、約134万円となりその後の保険契約は無くなります。
医療保険が78歳の満期以降無くなるという事です。
言い方は悪いかもしれませんが、健康で病気もせずに78歳を迎えた場合にはこの134万円を捨てたのと同じという事です。
少し言い方を変えれば、134万円で安心を買っただけという事です。
終身医療保険の総支払保険料
それでは、終身医療保険の総支払保険料を見て行きましょう。
ここでは、比較的保険料の安いとされるオリックス生命の「新CURE(キュア)」を例に見て行きましょう。
また、終身医療保険には保険料を終身(保障が続く限り支払う方法)と有期(60歳までなど)の2つがありますが、今回は60歳払い済みにしています。
条件と保障内容:30歳男性で入院5000円・先進医療あり
年齢 | 月払い保険料 | 総支払保険料 |
30歳~60歳まで | 2,424円 | 872,640円 |
60歳まで保険料を支払い、そのあとは保障のみが一生涯残る内容となっています。
この場合の総支払保険料は約87万円となっています。
定期医療保険と終身医療保険の保険料の差は約50万円!
さて見て頂いたらわかると思いますが、敢えて差をここでもう一度見ていただきましょう。
定期医療保険を78歳まで加入し続けた時の総支払保険料は約134万円、終身医療保険を60歳まで支払う総支払保険料は約87万円となり、その差は約50万円となります。
そして、定期医療保険は78歳以降の保障は無くなりますが、終身医療保険は保険料を払い終わった以降も一生涯の保障が残ります。
そして、保険料の差は約50万円ですが、保障が無くなる事などを考えるとその差は数約万円になるという事を知っておいてください!
あなたはどちらを選びますか?
まとめ
月々の保険料にどうしても目が行ってしまいがちな生命保険ですが、総支払保険料と保険の性質・特徴をしっかりと理解していれば、こんな簡単な選択を失敗する事はありませんよね?
しかし、実際に保険会社がこの様な保険を販売し続けるという事は、確実にニーズがあり売れているからです。
決してこの定期医療保険が悪い商品と言う訳ではありませんが、訳も分からずにただ安いからと言う理由で保険を選ぶ方は一定数いるのです。
そういった方が、結果として大きな損をしてしまう可能性が有るのです。
定期医療保険も定期死亡保険も、使い方・考え方によっては非常に有効に使える保険なのですが、考え方・ニーズと合致しない場合には、非常に危険な商品であると言う事を知っておいてください。
自分がどんな考えで保険に入るのか?いつまで保障が欲しいのか?その保険にトータルいくら支払うのか?という所を、考えて賢く保険に加入するようにしましょう!
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