台風による大雨での河川の氾濫をはじめとした、水災事故が起こった場合に、どのように保険の対象になるのか?という所を少し具体的に考えられる状況別に解説していきます。
元保険屋さんとしての見解ですが、あくまでも個人的な見解となります。
保険代理店さんによっては、別の意見もあると思いますし、保険会社の見解も異なる場合もありますので、1つの見解として参考にしていただければと思います。
目次
大雨による洪水で床上浸水をした
大雨による損害で一般的な損害は、洪水等による床上浸水となるでしょう。
この損害に関しては、火災保険の対象となる可能性が高いと言えるでしょう。
まず、洪水によって床上浸水したと言うのがポイントとなります。
また、地面から45cm以上の浸水をした場合にも、火災保険の対象となる可能性は高いと言えます。
そして、同じ浸水でも床下浸水に関しては、火災保険の「水災補償」では補償されず、損害が出てしまっても火災保険の対象とはなりません。
そして、まず床上浸水をした場合でも、どんな被害(損害)が出たのか?という所をしっかりと把握しておくようにしましょう。
「家具家電が水に浸かってしまった」「タンスに入れていた洋服などが水に浸かってしまった」「布団などが水に浸かってしまった」などになると思います。
また、「壁紙や床材が水に浸かって修理をしなければいけなくなった」と言うのも損害になりますので、まず何が被害を受けたのか?を割り出すようにしましょう。
大雨が原因で裏山が崩れて自宅が破損した
大雨による損害は洪水だけではないでしょう。
山や崖の近所に住んでいると言う方は、洪水よりも山崩れや土砂崩れのリスクの方が高いでしょう。
大雨によって地盤に雨水などが大量に入り込んでいる場合には、山や崖が崩れるという事が考えられるでしょう。
例えば、「自宅裏の山が崩れて自宅が土砂崩れに巻き込まれた」と言う場合には、建物と家財道具の火災保険の「水災補償」の対象となる可能性が高いです。
これは、水災補償の条件の一つである、「保険の対象となる建物・家財道具の評価額の30%以上の損害が出た場合」に該当する可能性が高いからです。
あくまでも、土砂崩れなどで建物へ30%以上の損害が出た場合の話となり、土砂が崩れてきても建物自体に損害が出なかった・少なかったと言う場合には火災保険の対象とはなりません。
また、家財道具への損害も同じく評価額の30%以上の損害が出た場合の補償となりますので、被害が出た物を確認して損害額がいくら位になるのか?という所を確認する方が良いと言えるでしょう。
川沿いの家で土地が削られて家が流されてしまった
あまり多い被害ではありませんが、川沿いに家を建てていて、大雨により川の水が増水し土地を削るという事もあり得るでしょう。
テレビなどでも放送されていると思いますが、川の水の勢いで土地を削り削られた上に建っている建物が崩れて流されると言う場合です。
この場合の解釈が非常に難しいのです。
私個人の見解では、7割は保険の対象とならないと思います。
その理由性として、火災保険のパンフレットに記載されていますが、【保険金をお支払できない場合】と言う個所には、「土地の沈下・隆起・移動等に関する損害はお支払できない」と言う記載があります。
しかし、水災補償に関しては「台風・暴風雨・豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の水災によって損害を受けた場合」こういった場合は保険金の支払い対象となります。
川沿いの家が流される原因には、建物が建っている土地が被害を受けるのが原因と言えますが、それが土地の沈下や隆起や移動と言う解釈であれば、火災保険の対象にはなりません。
しかし、土砂崩れではないか?と言う解釈も出来なくはありません。
殆どの場合は「土地の沈下・隆起・移動など」と言う解釈になる場合が一般的だと思いますので、火災保険の対象にはならないかと思いますが、保険会社が土砂崩れと判断すれば火災保険の対象となりえるのです。
これは解釈次第となりますので、どちらとも言えないパターンの1つと言えるでしょう。
損害の状況把握をしっかりとしよう!!
最後に基本的な事を書いておきましょう。
台風の影響で、多くのメディア等で「火災保険の対象になる!」や「火災保険の注意点」など書いていますが、根本的に火災保険は損害が出て初めて助けになるモノです。
「床上浸水をした」「土砂災害に遭った」など、被害に遭っても事前にしっかりと準備をしていて損害が出ていない!という事もあり得るかもしれませんよね?
そういった場合には、損害が出ていないので火災保険を使う事もありませんよね?
大雨によって浸水をした・土砂災害に遭ったと言う場合には、まずどんな被害が出たのか?という損害の把握をするようにしましょう。
損害があり、その原因が洪水などであれば「水災補償」の対象となり、その損害額を火災保険の保険金で填補するという事になります。
まずは、片付けている途中などに損害の状況確認をするようにしましょう。
そして、損害が出た物に関しては写真を撮って修理見積りや同型の物を買うのにいくらかかるか?という所を確認しておくようにしましょう。
まとめ
台風などで大きな被害が続いていますが、台風による大雨での災害や突風による損害の多くは火災保険の対象となる場合が多いです。
今回は、水災補償について少し具体的な例を出して解説しましたが、今回とりあげたパターンだけではなく、数多くのパターンがあると思います。
今回書いた状況が基本となりますので、何かしらの被害が出た方は、まず「何が原因でこの損害が出たのか?」を整理して、火災保険の対象となるかどうかを確認するようにしましょう。
そして、他の記事にもあるかもしれませんが、損害が出た場合には保険会社または代理店さんに連絡をするようにしましょう。
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