火災保険の値上げの原因は自然災害での保険金支払いが多くなったからだけか?

損害保険
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火災保険の値上げに関してですが、2019年10月に損害保険料率算出機構が金融庁に参考純保険料の改定を報告したことで、各損害保険会社が順次火災保険料の値上げをしていくでしょう。

その火災保険料の値上げの理由として「自然災害での保険金支払いが多くなったため」と言う理由が挙げられています。

本当にそれだけが原因なのでしょうか?

今回は火災保険料の値上げの原因と、今後の火災保険料がどの様に推移していくのか?という所を、私見を大きく織り交ぜて書いていこうと思います。

あくまでも私の個人的な意見ですので、「こんな考え方もあるのだな」程度に診ていただければと思います。

台風や大雨による損害額は確かに多くなっている!

2019年も台風による甚大な被害が各地でありましたよね。

今回の純保険料改定には、2019年の自然災害の損害額は反映されていませんが、2018年の自然災害(風水災損害)での損害保険金の支払額は1兆円を超える数字となっています。

下記の図は損害保険料率算出機構が出している資料です。


出典:損害保険料率算出機構

2017年と比べても10倍ほどの額になっています。

これが、火災保険料の純保険料改定の大きな要因ではあります。

また、2019年も甚大な被害が出ていますので、2018年と同じぐらいの損害額が出ていると考えられます。

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火災による保険金支払い額は変わらない!?

火災保険と言えば、「火事の時の保険」と思っている方が大半でしょう。

勿論、自然災害や家財道具の小損害など補償な範囲は広いのですが、火災事故(火事)に備えるのが火災保険です。

近年は台風や大雨などの自然災害での補償が大きく取り上げられていますが、実際に火災での保険金支払いは大きく増えているわけではありません。

下の図は少し古いデータとはなりますが、損害保険料率算出機構が出している最新のデータとなります。


出典:損害保険料率算出機構

火災事故での支払い件数は右肩下がりで少なくなり、保険金支払額も少なくなってきています。

火災事故だけを見ると、保険金の支払いは少なくなっていることから、自然災害での支払い増加が無ければ火災保険料の改定はほとんど行われないと言う事が解ると思います。



保険金支払額が増えているのは自然災害だけではない!?

あまり知られていないことですが、保険金の支払額が増えているのは自然災害だけではないのです。

損害保険料率算出機構が出しているのは、主に水漏れ損害となっていますが、大きなくくりで言うと【その他の損害】と言われるものです。

水漏れに関しては、給排水管の凍結などによる水漏れ損害となり、保険金の支払い対象となるのは水濡れをした壁紙や天井・床などから家財道具などとなり、給排水管自体の損害は保険の対象とはなりません。

これだけは覚えておいてください。

それでは、どれだけの保険金が支払われているのか、どれぐらい増えているのかを下の図で確認してください。


出典:損害保険料率算出機構

保険金の額としては、決して多くありませんが、支払い件数・支払い保険金額ともに増加しているのは解ると思います。

これは水漏れ損害だけではなく、先ほども少し書いたように、比較的小損害と言われる保険事故の支払いが増えたことが要因であると思います。

火災保険の補償範囲は、火災や落雷・風災・水災だけではなく、【不足突発的な偶然な事故】と言う項目があります。

要は、故意に損害を与えていなく、事故性のある損害に関しては火災保険の対象となると言う事なのですが、これが意外に浸透してきているのかと思っています。

「何かあれば火災保険で対応できる」と代理店さんが顧客に説明することで、今までは保険金を請求しなかったような事例でも保険金請求をすると言うのが増えてきているのではないかと思っています。

決してこれが悪いと言う訳ではりません。

火災保険に加入して保険料をしっかりと払っているのだから、些細な事故でもしっかりと補償してもらうのは当然の事です。

これまで、些細な事故で保険金の請求が出来ると言う事を知らない人が多かったのも事実であり、今でも知らない方が多くいらっしゃると思います。

また、近年の火災保険の補償範囲がすごく広くなり、突き詰めていくと「こんな補償内容にしていて大丈夫か?」と保険会社を心配するような内容となっているのです。

この【その他の損害】での保険金支払いの増加も、今回の保険料改定の要因の一つと私は考えています。



これからの火災保険はどうなる?

これからの火災保険に関して少し考えていきましょう。

火災保険の保険料に関しては、これから毎年とまではいかないとは思いますが、それに近いペースで保険料の改定や保険内容の改定が頻繁に起こるでしょう。

自然災害の発生頻度も今後さらに高くなる可能性もありますし、補償範囲の広さからその他の損害での保険金支払いも多くなると思います。

しかし、少子高齢化や核家族化によって空き家は多くなり、火災保険自体の需要は減少するでしょう。

そうなると、必然的に火災保険料は高くなると考えて良いでしょう。

しかし、来年・再来年に急に保険料が倍になると言う事も考えにくいとも言えますよね。

また、3段階に分けて保険料の値上げを行っている中での、今回が2段階目だったと思います。

3段階での値上げを終えても、2019年の自然災害での被害額などを考えると、まだまだ値上げをしていくと言ってもいいでしょう。



まとめ

火災保険の値上げの要因について少し考えてみました。

値上げの直接的要因は、自然災害による保険金支払いの増加となります。

しかし、あまり表には出てこないですが、火災や自然災害だけではなく、その他の損害と言う小損害などで保険金の支払いが増えていると言うのも事実です。

これを取り上げる方も少ないのは、情報があまり出ていないからです。

私は、火災保険の事故処理を多く経験し、火災保険の支払いに関して自然災害よりも小規模な損害での支払いの方が多かったこともあり、火災保険料の値上げの要因に関して少し疑問を感じたのも事実です。

世間的に知らないことと言うのは情報が出てこないから知らないと言う事になりますので、こういったこともあると言う事を少しでもいいので知って頂ければと思います。

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