保険代理店の現実を知ろう!これでもあなたは保険代理店をしたいですか?

保険の基礎
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保険代理店に関するウェブ記事は結構ありますが、どれも一般ユーザーに向けた記事ばかりですよね?

そして、保険代理店を経験していると言っても、比較的大きな保険代理店の方のインタビューなどが記載されているのが大半でしょう。

保険代理店にも、「底辺」と言うと語弊がありますが、大小の規模があり多くの代理店は小規模の代理店であり、様々な苦労をしています。

今回は、そんな弱小代理店の営業から経営を経験した元保険屋として、保険代理店の現実を少し紹介していきます。

あくまでも私個人の見解であり、すべての代理店さんがそうではないという事だけは最初に言っておきます。

専業代理店でも専属代理店は多い

ウェブ記事などでは、専属代理店と副業代理店があり、専属代理店は複数の保険会社を取り扱う「乗合代理店」が多いとありますが、実際問題として長らく損害保険のプロ代理店として活躍してきた代理店の多くは、1社だけ取り扱う「専属代理店」です。

そして専業代理店でも専属代理店が多い理由には、代理店になるための「研修生制度」が大きな要因となっています。

保険代理店を始めるに当たり、すぐに委託契約を結べるわけではなく、基本ルートは損害保険会社の研修生になり、2年から3年の間は保険会社の社員の様にして働くことになります。

その間に顧客を作り独立すると言うイメージですが、代理店を開業するときに研修生をしていた保険会社と代理店契約をして委託契約を結びます。

そうする事で、保険だけを扱う専業の保険代理店ですが、1社だけを扱う専属代理店が出来上がるのです。

そして専属代理店は乗合が非常に難しく、1社と委託契約を結び代理店を営み始めると、他社との乗合は基本的に出来ないと思っておいてください。

その解説は次章で行います。

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専属代理店がなぜ乗合代理店になれないのか?

お客さんの事などを考えると、複数社の保険を取り扱いたくなると思います。

その方が、お客さんにとっても代理店にとってもメリットは大きくなるのですが、保険会社にしてみればデメリットが生じます。

  • 大きなデメリットは自分たちの顧客が他社に流れる可能性がある。
  • システム管理が煩雑になる
  • 顧客情報の管理が難しくなる

などなど、保険会社にとっては、専属代理店が乗合をするのは良い事とは考えません。

そして乗合代理店にする為には、現在委託契約をしている保険会社と、新たに委託契約を結ぶ保険会社の双方の承諾が必要となるケースが圧倒的に多いです。

新たに委託契約を結ぶ保険会社の承諾は、もちろんすぐに取れますが、現在委託契約をしている保険会社の承諾はそう簡単に取ることは出来ないのです。

そして、もし乗合をしたいという事を伝えると、あからさまに嫌な顔をするのは勿論ですが、代理店の持っている数字(年間の集める保険料など)をだしてきたりします。

大規模な代理店で、保険会社に対して強くいけるような数字を持っている代理店であれば、乗合の承諾も取りやすい可能性もありますが、年間保険料で1億円以下の保険代理店であれば、ほぼ承諾はしてくれません。

この年間保険料の話をすると少し解りにくいですが、大体のクラス分けを書いておきましょう。

代理店の規模 年間保険料
小規模 1,500万円~5,000万円
中規模 5000万円~2億円
大規模 2億円~10億
特大規模 10億以上

少し幅がありますが、ザックリとした目安です。

一般的な方からすると、すごい数字かもしれませんが、保険代理店の中では普通な数字です。

この中で、保険会社に強くいけるのは、大規模以上の数字を持っているところぐらいであり、そういった代理店の多くは、複数人で営んでいる保険代理店です。

乗合代理店をどうしてもしたい場合はどうすれば良い?

新規で保険代理店をしたい方にとっては、乗合代理店にする最大のチャンスがあります。

それは、保険代理店を開業するときに、複数社の保険会社と同時に委託契約を結ぶ方法です。

1人で始める場合には難しいですが、何人かで共同で代理店を作ろうという事になれば、研修生上がりでも、他社の研修生と組んで代理店を作るのです。

そうすれば、保険会社も乗合を認めざる負えない場合が多く、乗合代理店を比較的簡単に作ることが出来ます。

乗合代理店にするには、この方法が一番手っ取り早いでしょう。

そうでない限りは、早々乗合代理店にはなれないと思っておいてください。

保険代理店は儲かるのか?

専業代理店であれば保険業一本で、生計を立てなければいけませんが、保険代理店業はどれぐらいの収入になるのか気になりませんか?

1人でも出来るので、脱サラし保険業界に飛び込もうかと思っている方にとっては一番気になる事だと思います。

ハッキリ言って、しっかりやれば儲かりますが、やり方次第だと思います。

損害保険代理店の手数料は、おおよそですが、自動車保険の場合は平均で年間保険料の10%、火災保険の場合は平均で年間保険料の20%程です。

年間保険料5万円の自動車保険の契約を獲れば、代理店手数料は5,000円と言ったところです。

これが安いとみるか高いとみるかは、あなた次第ですが、保険契約は早々獲れる物でもなく、また損害保険は事故があって当然ですので、契約してから満期案内・更新手続きから事故の処理まですべてをやって5,000円という事です。

そして、代理店手数料は代理店の規模や設備状態等によっても変わります。

専用の事務所を持っているか、個人情報の管理はしっかりと出来ているか、人員はどれぐらい居るか、対前年比の保険料を上回っているかなどなど、手数料の割合を決める項目は結構あります。

少しでも手数料率を上げたければ、それなりに出費が必要になってくるという事です。

代理店手数料が主な収入源になりますが、それに対して代理店の事業経費がどれだけになるのか?という所を一度確認しましょう。

意外と儲からないですよ。

保険業務はどんな業務?

保険代理店の業務に関して少し紹介しましょう。

損害保険の代理店の主な業務は、保険契約の新規契約を獲る事も重要な業務ですが、既存のお客さんの契約保全が最も大事な業務になります。

契約保全には、契約更新の案内・手続きもそうですが、事故の処理や保険金の請求手続きの手助けなど、多岐に亘ります。

契約数が多ければ多いほど、雑務は増えます。

また、新規契約・更新契約ともにですが、契約書類に署名捺印を貰ったら、それを処理するのも代理店の仕事となります。

損害保険に関しては、保険代理店に契約の締結権があるため、署名捺印を貰った時点で契約が成立します。

万が一、契約後すぐに事故が起こってしまった時には、その処理もしなければいけないので、契約を獲ったら出来るだけ早く契約の手続き処理をしなければいけません。

一から十まで、損害保険代理店の仕事だと思っておいてください。

保険会社と代理店の関係性は?

損害保険の代理店と損害保険会社との関係性はどうなのか?と少し気になりませんか?

普通に考えると、代理店と保険会社は対等な立場だと思うかもしれませんが、現実問題として、まったく対等ではありません。

業務委託をしているので、保険に関する業務に関しては、あれこれ言われても仕方のない話です。

委託契約をしているので、そこの商品を代理で売っている訳ですから、メーカーさんのいう事は聞かなければいけません。

しかし、代理店でチラシを作ったり、ホームページを作ったりとする場合にも、保険会社の承諾を受けなければいけないケースもあるのです。

保険会社の名前・商品名などを使用する場合は、もちろん承諾を得ることは当たり前ですが、その場合の細かなレイアウトやリンク先の表示方法などまで細かく支持される事もあります。

そして、これはあまり書きたくありませんが、代理店の規模によっても保険会社の態度が違えば、保険会社の社員が代理店と保険会社の関係を解っていない場合もチラホラ見かけます。

決して、代理店は保険会社の駒ではなく、保険会社の商品をユーザーに売っている立場という事を理解していてほしいです。

最後は少し文句になりましたね。

まとめ

今回は少しテイストを変えて書きましたが、いかがでしたか?

これから、保険業界に飛び込もうと考えている方、保険代理店をしたいなと思っている方に一言だけ言いたいですが、損害保険代理店は決して楽な仕事でも儲かる仕事でもありません。

そして、保険会社は代理店を少なくしようとする流れですので、各小規模・中規模の代理店さんは生き残りに必死です。

そして、新規代理店を夢見て研修生に入ると言う方は、研修生を無事卒業できても、独立できるという事ではなく、どこかの損害保険代理店に入らなければいけないと言う事だけは覚えておいて下さい。

全ての業界で楽な業界はありませんが、保険業界は今あまりおすすめ出来ない業界です。

それでもあなたは保険代理店になりたいですか?

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